若者のすべて

morris76ers2004-05-14

イタリア南部から大都市ミラノへ移住してきた家族の悲劇を通して、兄弟間の愛と憎悪を描くとともに、イタリアの厳しい現実を鋭くえぐった壮大なドラマ。アラン・ドロン演じる三男のロッコとレナート・サルバトーリ演じる次男のシモーネはボクサーを目指すが、ロッコは兵役へ、シモーネは都会の誘惑に負け娼婦ナディアにおぼれていく・・・。名匠ヴィスコンティの代表作のひとつで、ベネチア国際映画祭審査員特別賞を受賞した。
(原題:ROCCO E I SUOI FRATELLI)
〔製作〕ゴッフレード・ロンバルド
〔監督・脚本〕ルキノ・ヴィスコンティ
〔原作〕ジョバンニ・テストーリ
〔脚本〕スーゾ・チェッキ・ダミーコ
    パスカーレ・フェスタ・カンパニーレ
    マッシモ・フランチオーザ
    エンニコ・メディオーリ
〔撮影〕ジュゼッペ・ロトゥンノ
〔音楽〕ニーノ・ロータ
〔出演〕アラン・ドロン、レナート・サルバトーリ
    アニー・ジラルド
    クラウディア・カルディナーレ ほか
(1960年・イタリア/フランス合作)
〔イタリア語/字幕スーパー/白黒〕

イタリア映画って社会風刺が効いてて結構良いんだよえねぇ中でもこのルキノ・ヴィスコンティって監督はかなり良いらしい。(らしいって言うのはこの映画で初めて見るから)
南部から北部のミラノにやってきた5人の息子と母親のお話、で5男は幼いからまだあんまり人格が出来てないんだけど。他の4人は見事に性格分けされていて、小さくまとまっていて保守的でそれなりにうまくやる長男。甘えん坊で単純で熱しやすく人間的に弱い次男。繊細で人のことを考えてまったく汚れを知らない純粋な三男。変化に順応する柔らかさと頭の良さを持ちいつもどこかクールな四男ってな感じ。
主に駄目な次男と良くできたまるで聖人のような3男の関係が一番の話の中心。他の映画の題材とはなりにくい無難な3人も途中で挿入されることによって物語りに広がりを持たせていてなおかつ話がバラバラにならないのはスゴイ構成力です。
中心となる次男と三男の関係は、ボクシングと娼婦ナディアを巡って語られております。
次男は人間的に弱く努力とかが嫌いだからとにかく低いほう低いほうへ流される、せっかくボクシングの才能を持っていたのに成功を持続することが出来ない、そのくせ純粋で売春婦ナディアには本気で惚れている。精神的に荒れていて自暴自棄的、刹那的に生きているナディアの愛を得ようとするから、強がらなければならないし、大事なものはお金だと言い切るナディアの愛を得ようとお金をつぎ込んで、犯罪に手をそめたりしてしまう。
アランドロン演じる三男はとても思いやりがあって家族の幸せをいつも心から願っていて自分のことは二の次。そしてその思いやりがナディアに向けられた時、初めてナディアは自分のことを見抜いてくれる人に出会い別人のように変わっていく。
同じ女性と付き合っても堕落していく次男、女性を良い方向へ導きともに幸せになっていく三男。おまけにボクシングも三男に追い抜かれる次男。
そんな差を感じて自暴自棄になる次男、ナディアを弟と友達の目の前でレイプまでしちゃうありさま。しかも三男はレイプするように思いつめたのは僕のせいだ兄さんのそばにいてくれとか言ってしまう始末、せっかく変わりかけたナディアもまた自暴自棄に、気を使われて惨めな次男はさらに惨めに。やさしさってやつも使い道間違えると罪ですな。
どっちかってっと次男タイプな俺はいろいろ身につまされる思いですた。
って話がまとまってしまったが、この映画にはとてもまとめきれないくらいのテーマが潜んでおります。名作の重厚感にあふれた映画ですた。