イラクの三人

morris76ers2004-04-24

ニューヨークタイムズ
Beneath the surface of Japan's ultra-sophisticated cities lie the hierarchical ties that have governed this island nation for centuries and that, at moments of crises, invariably reassert themselves. The former hostages' transgression was to ignore a government advisory against traveling to Iraq. But their sin, in a vertical society that likes to think of itself as classless, was to defy what people call here "okami," or, literally, "what is higher."

村社会な日本では、異質な人は叩かれてしまうんですなぁ。なかなか鋭い。
しかし、批判が渦巻いてしまったのは家族の対応と三人のノー天気さ。
自衛隊がいるから拉致られたんだ、自衛隊を撤退しろとか言うから非難にあったわけだよね

水島朝穂教授
なぜここまで人質3人とその家族がバッシングされたのか。その理由は二つある。一つは、この事件により、自衛隊派兵のウィークポイントが鋭く突かれ、国家的メンツが丸潰れになったからにほかならない。二つは、外務省の情報力やネットワークの貧困さも暴露され、「邦人保護」任務をまっとうできない不甲斐なさが見えてしまったことである。人質の命を救ったのは、市民やNGOなどによるイラク民衆や関係者への働きかけと、アルジャジーラという独立系メディアの存在だった。小泉政権は、自衛隊の活動地域が「非戦闘地域」であることの説明責任を常に問われるという恒常的プレッシャーにさいなまれている。だから、人質たちの命が自衛隊撤退とバーターにされたことは痛かった。そこで、単なる居直りにとどまらず、逆襲に転じたわけである。その結果、自衛隊派兵の根本問題はいつの間にか、マスコミ報道から消えてしまった。政府に忠誠を誓わない、批判的な国民は「非国民」として保護の対象にしないとでも言わんばかりの声も政府関係者から飛び出した。ここまであけすけに政府の自国民保護の任務の放棄に等しい言葉が飛び交ったのは、おそらく戦後初めてのことだろう。古典的な「夜警国家」ですら、自国民保護の任務を放棄することはない。アグレッシィヴな「自己責任」の一人歩きは、雇用、福祉、医療、教育、税金、年金など、社会のあらゆる領域で進行する新自由主義的な「改革」や「規制緩和」と密接に絡んでいる。この間、この「自己責任」という言葉は、「自助」「自立」「自律」などと結びついて、政府の任務放棄や無責任の正当化に使われてきた。今回、ついに、外務省設置法4条9号の「在外自国民保護」の手抜きを正当化する言説としても登場してきたわけである。
 自衛隊の海外派兵のルート開拓が目指された1996年前後には、「在外邦人救出」が盛んに言われたが、テロ特措法やイラク特措法ができて、海外派兵の太いルートができた今となっては、自衛隊海外派遣の理由づけとして、ことさらに「在外自国民保護」を持ち出す実益はなくなった。そうした事情もあって、今回の3人の人質に対する政府の対応の冷たさは際立っていた。
 もう一つの背景は、まさに、自衛隊イラク派兵部隊(550人)そのものが実質的に「人質」にとられていることがある。自衛隊駐屯地近傍での迫撃砲の着弾で「戦闘地域ではない」という政府説明の説得力は地に落ちた。人質の命の重さに比して、自衛隊派兵の正当化論理があまりに弱いことが見えてしまったことへの焦りは並大抵のものではなかった。米軍による占領の一角を占める日本。それに対するイラク民衆の怒りが明確になるにつれて、自衛隊派兵の根拠が崩れていく。そこを糊塗するため、ことさら人質3人の弱点が暴かれ、家族の対応が非難されたのである。ここに、壮大なすりかえの構図があった。

とりあえずこの文は時系列が間違ってるんだな、まず自己責任や渦巻く批判は2chから起こっていた。
旧来のメディアの中でサイレントマジョリティーである彼らは自分達と異質なものが大嫌い。おまけにそれが嘘っぽくほめ称えれれてたりすると異様なほどに叩きまくる。
今回も「ボランティア?はぁ?捕まってんじゃねぇよっ金は自分で払えよっ」て。
普段、メディアが左寄りで自由主義的なものを礼賛している反動から来るカウンターカルチャーなんだろう。
時系列はともかくとして、水島先生の指摘にははっとささられるものがある。2chの暴走世論よりも政府の唱える自己責任論の方が実行力あるぶんヤバイ!!

いわゆる「自己責任論」について
江川紹子
http://www.egawashoko.com/menu4/contents/02_1_data_28.html

yomiuri 大手小町
人質になった彼らを、責めるよりも
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/reader/2004041600200.htm
イラク撤退を
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/reader/2004040900014.htm

擁護論優勢か?

彼らの志は尊いといいます。

でも、彼らはなぜ、日本で正業に就かないのか?
彼らはなぜ、日本で地に足の着いた生活をしようとしないのか?

イラクで何もしないと責められる、圧倒的多数の日本人。
彼らはつまらない小市民だが正業に就いている。会社員、自営業、学生、主婦。不景気の中、営々と生活のために闘っている。
ボランティアが、正業従事者の中からでてこないのはどういうわけ?

彼らはイラクでの活動資金をどうやって調達しているの?
親の資産?工事現場のアルバイト?
豊かな日本で、正業従事者の成果をちょっとばかり掠めれば、イラクで施しをするのに十分な資金は調達できるということ?

ボランティアがそういうものならば、彼らは本当にそれで満足なの?
日本で正業に就かなくても余裕で稼げる資金で、最大のリターン(かわいそうな人たちの感謝?笑顔?)を得られる場所をイラクに見つけたのでは?

結局、彼らは豊かな日本を利用し、かつイラクを利用しているのでは?
中途半端な自分を、あえて貧富のボーダーラインにおいて、どちらにも根を下ろそうとしない。要はいいとこどりではないの?

いつまでも消えないのはそんな違和感。

うーむ、これぞ日本の村社会的発想。
ボランティアで働くのが偉くて、会社で働くのが偉くないって優劣関係にあるのがそもそもおかしいわけなんだが、自分で選んだ生き方で楽しく生きていけばいいじゃんよ。