みんな元気

morris76ers2004-05-19

家族の絆を求めてイタリア各地を巡る老人の旅を描くロード・ムービー。5人の子供たち全員を訪ねる旅に出た70歳のマッテオが見た子供たちはみな幸せそうだった。が、やがてその幸せは偽りだということが浮き彫りになる・・・。「ニュー・シネマ・パラダイス」「マレーナ」などを手がけたジュゼッペ・トルナトーレ監督が名優M・マストロヤンニと組んで送る、ほろ苦い中にもユーモアあふれるヒューマン・ドラマ。
(原題:STANNO TUTTI BENE)
〔製作〕アンジェロ・リッツォーリ
〔監督・脚本〕ジュゼッペ・トルナトーレ
〔脚本〕トニーノ・グエッラ
〔撮影〕ブラスコ・ジュラート
〔音楽〕エンニオ・モリコーネ
〔出演〕マルチェロ・マストロヤンニ
    ミシェル・モルガン
    サルバトーレ・カシオ ほか
(1990年・イタリア/フランス合作)
〔イタリア語/字幕スーパー/カラー〕

ニューシネマパラダイス」で有名なジュゼッペ・トルナトーレ監督の作品です。俺は「ニューシネマパラダイス」「マレーナ」「みんな元気」の3作品の中で「みんな元気」が一番名作だと思うんだけど、(2番はマレーナ)世間の評価では「ニューシネマパラダイス」がダントツみたいです。うーむ、「ニューシネマパラダイス」ってそんなスゴイ映画なんかい?映画って良いよね〜って思ってる観客が映画って良いよね〜って映画見たら。この映画良いよね〜ってなるのはあたり前だと思うんですけど。「ニューシネマパラダイス」がなければおれは「みんな元気」に注目することはなかったからやっぱり偉大な作品なのかもしれないけど。万年思春期な天邪鬼クンなんで万人が認める名作を素直に良いと言えずにごめんなさい。
さて本題の「みんな元気」についてですが、この映画はイタリア映画らしく物事の本質をついた鋭い皮肉が全編を貫いております。
主題は「嘘」です。「やさしい嘘です」。他人のことを思いやってつくやさしくて悲しい嘘なんです。
老人が自分の子供に会いに行く話なんですけど。方々で子供が父親を心配させまいと嘘をつくんです。仕事がうまくいってないのにうまくいってると嘘をついたり、旦那と別居してるのに仲良くよそおったり、父親の自分に抱いているイメージの大きさに合わせようと嘘をついて、父親を喜ばせようとするんです。父親も薄々子供のついている嘘に気付くんですけど、気付かないふり(嘘をついて)をするんです。
ことの発端はこの父親が子供に過剰の期待をよせていたからかもしれません。将来大物になるんだ、地元(シチリア島)の誇りだと。そんな父親の期待に応えようと父親思いのやさしい子供たちは、やさしくて悲しい嘘をついたのかもしれません。
誰でもこんなやさしい嘘をついたりするものですよね。この映画見ながら自分のついてる嘘についてじっくり考えるのもいいかもしれませんな。